あの時感じた予感は本物

基本的に重くて長い

想いのままに。

 

FATALISM ≠ Re:Another story全14公演、出演者、スタッフの皆さま、そして我らオタクの皆さまお疲れさまでした。

 

久しぶりに全通するほど気合いを入れていた舞台でわたし自身もかなり熱が入ってしまったけれど、せっかくなら印象に残っている役者さんだけでも記録に残したいと思い、ブログを開設しました。

 

Twitterにぼちぼち呟いている物語や登場人物の個人的考察も一緒にまとめようかと思ったけどほぼ同じ内容になるので暇があったら覗いてみてください。(放棄)

 

 

 

FATALISM、結論から言うと最っっっっ高だった。

 

わたしは今回が初めてのSEPT観劇だったから、FATEチームとLISMチームのWキャストだと聞いたときは、正直前半のFATEチームが圧倒的に有利だと思っていて、というのも人間はどうしても最初に見たものを基準に捉えてしまうからそれを超えるのはなかなか難しいことだと思っていたし、案の定しばらくはFATEチームの余韻から離れられなくて最終日までに受け入れられるか心配だったけれど、2/25ソワレから一気にまとまるLISMチームに引き込まれた。

最後の最後に両チームを愛せたことが自分としてほんとに嬉しい瞬間だった。

 

Wキャストだし登場人物は多数いるけれど、まず絶対最初に絶賛したいと決めていた長月翠ちゃん。初日にわたしが稲妻級の最強衝撃を受けた役者さん。観客だけでなくキャスト陣含めた会場全体が、莉乃に引っぱられて感情を膨らませたひとがたくさんいるんだろうなと思えてしまうほど、まっすぐな莉乃の喜怒哀楽を存分にぶつけてくれた。そして何よりたくましい佐輔の隣で歌う莉乃(翠ちゃん)の小さな身体からあふれ出るパワフルでエネルギッシュな歌声と、とにかく歌うことが楽しくて仕方ない純粋無垢な表情が本当に愛おしくて、生まれて初めて歌の力だけで泣けてしまった。またどこかで翠ちゃんの歌声を浴びたいな。

 

二宮響子さん。FATEチームのテンちゃんとしてせーーーーーいっぱいっ!生きていた響子さんのテンちゃんは、実はエイナよりもメンタル強いんじゃないかと思えてしまうほど天真爛漫だけど縁の下の力持ちで、エイナとツタバ、そしてシンのことをそのまっすぐな感情で支えてくれていたんだろうなと思う。同性から見ても可愛くて可愛くてたまらなかった。

 

シン役の西田祥くんと桐田伶音くん。両キャスト見て、シンが一番芝居力が試されているんだろうなと感じるくらいに迫真の演技だった2人。この2人に関しては比較がなくただひたすら圧倒されていた。機械化されてしまった現実と微かに残る人間としての心が揺れる繊細さを、絶妙な声のトーンとバグを起こしている動きで体現していて少し不気味さすら感じてしまうほど。圧倒的な舞台役者、その一言に尽きる2人だった。

 

エイナは吉川エイナがわたし的に解釈一致で、強そうに見えて実はちょっとナイーブででも結局のところ一番芯が通っていてブレずにみんなを引っ張る強さがある女性。VALSHEエイナはアカペラの時点から只者じゃない感が出ていて、歌唱シーンへの期待値をかなり上げていたけどそれすらもあっという間に超越してきて思わず初日は笑ってしまった。あれは奇跡起きる。

 

リピーター客がじわじわ楽しみにしていた3バカならぬ3羽鴉。

ウチクリ内倉さんの見事アドリブで全制覇した堕印への餌付けと絵空様への贈呈品に毎日笑わせてもらい、出演者としてだけでなく演出家としての内倉さんのフィードバックがあったからこそ、客観的な視点で修正されている作品なんだと感じた。次回があるなら無二に出番が増えますように。ちなみにわたしが一番好きだったアドリブは「何味かわからない飴」でした雑すぎて最高。

緑川睦さんの声が穏やかに諭す堕印そのもので、わたしが雛菊だったら慣れない世界で諷経にカ-カ-言われた後のあの声の「まいりましょう」は優しすぎて泣いてしまうかもしれない(全然優しくないけど)。そして堕印のあの衣装が似合うのは睦さんしかいないと思ってる。トークコーナー中も一歩引いたところでみんなを見守る姿が、堕印の中の人だ…!と思わせるし見れば見るほど堕印(睦さん)がマスコットキャラクターにしか見えなくなってしまった、、

諷経の扇子めちゃめちゃ凝ってる…!と思ったらまさかの脚本兼プロデューサー様だったことに気づいたのは3日目の朝だった。。この物語を生んでくださったことに感謝しかないし、シンプルにタカオさんの声が聴き取りやすくて、セリフ部分はいつもほとんど変わらない音程と声量で、生なのにブレないその安定感がこの舞台を支えているんだと毎回思ってた。あとめちゃくちゃどうでもいいけど杉浦タカオさんの子どもは絶対かわいい名前だろうなと勝手すぎる推測をしてたくらいキャラクターの名前センスが良すぎる。地味に女性陣からの支持率が高そうな諷経。わたしもそのうちのひとりでした。(小声)

 

藍備の相棒としてお世話になりました、谷水力くん、やみえんさん。この2人が代わることで物語が一気に変わったのは間違いなくて、同じ人物なのに抱いている感情の軸が異なるから同じセリフでもそれぞれ言葉が重くなる場所が変わっていた。

蓮の考察はTwitterの方で飽きるほどしてるから今回は割愛するけれど、力蓮は自分の抱いている感情に常に素直で、クールぶっているから雛菊や藍備からは大人に見えるけど実は一番の子ども。実際、運命の轍から抜けてすべてから解放されたときに最も無邪気な顔を見せたのは力蓮だった。そして殺陣の技術に関してはさすがの一言に尽きる。後半はいよいよ死者が出そうだとソワソワしてた。

一方でやみ蓮は2/25ソワレから一気に化けたなと感じていて、藍備を斬る直前まで自分の本心と理性がかなり葛藤していた。やみ蓮は自由を生きることに最も喜びを感じ生命を取り戻したような目の輝きが印象的だったな。泉シーンのアドリブを多様に取り入れていて、そのあと自然にセリフに戻してくる喋り慣れはやみえんさんの技量。

 

そして我らが座長、今村美月ちゃん。

完全に嘗めきっていてごめんなさいの気持ちと、まだ見つかってないこの才能を日本中に胸を張って誇りたい女優さん。

14公演も重ねているのに中弛みを一切見せない演者のプロ。内倉さんが感受性が豊かだと表現していたけど、役にそこまで感情移入して大丈夫かと精神面が心配になる一方で、心からこの仕事をたのしんでいることがわかるから、美月ちゃんにとって今の仕事は天職なんだろうな。舞台仕事においてアイドル感が抜けないのは結構痛手だと思っているけど、美月ちゃんの場合はアイドルというより天使?(大真面目)衣装の影響もあるけどふわっとそこにいて、みんなににこにこ笑いかけてくれる雛菊そのもの。

この先美月ちゃんの笑顔が曇ることのないように心から願ってる。どうか、しあわせでいてください。

 

最後は、わたしをこんなにも素敵な作品に出会わせてくれた浦野秀太くん。

声がデカイと言われ続けてきた個性が、才能としてここまで開花することになるとは。声量、滑舌、息継ぎ、感情の乗せ方がとても初めて舞台に立つ人とは思えない。そしてわたしが舞台人に一番必要だと感じている度胸。秀太くんはわたしが思っていた以上に肝が据わっていたし、恵まれたキャストさんやスタッフさんに囲まれて自由にのびのびできる環境が、秀太くんの才能を開花させてくれたと思っている。藍備とツタバは熱量そのままに訴えるシーンが多いから、早口で話すことも多かったけどまったく問題なく聞き取れたし、日に日に剣捌きも様になっていってちゃんと藍備が宿っていた。演技力に関しても初舞台のベースで観に行ったらひっくり返った初日。藍備とツタバの細かな感情表現(泣く、怒る、喜ぶ)はもちろん、意識が朦朧としてきた人間の動きや、絵空に召喚されただけの感情の宿らない目、死体として運ばれるときの脱力感、すべてがリアルで藍備として、ツタバとして、生きていた。今回は浦野秀太のキャラクターとも被るところが多い2人だったけど、ここまでの演技力を見せられたらまったく違う人間として生きる浦野秀太も見たくなってしまった。これから舞台のお仕事が増えていくといいな。

 

 

書こうと思えば全員分の良いところを書きたいくらい、すべてのキャラクターに愛着があって、雛菊や藍備、蓮、夢百合、すべてのキャラクターが別時空で幸せに暮らしていてほしいと願うばかり。儚い時間だからこそ作り上げられたこの最高の座組を忘れないように、わたしにとっても特別な作品を胸にしまっておきます。

 

何度も何度も雛菊が伝えていたセリフがすべての伏線となり、気づけば自分も心の中で一緒に唱えていた言葉。

 

 

 

「もう一度また、会えますように」