あの時感じた予感は本物

基本的に重くて長い

舞台FFBE幻影戦争

 

FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS 幻影戦争 THE STAGE』全14公演。キャスト、スタッフさんを始め舞台に携わった皆さま本当にお疲れさまでした。

わたしも14公演並走させていただいたので、せっかくなら溢れる感想をブログにまとめさせていただきます。

 

正直、ストプレを14回も観るのは飽きるだろうし完走できるか不安だな、というのが観劇するまでの率直な想い。でもいざ初演を観たあとは、まるでアトラクションに乗り続けているようなあっという間の2時間45分で、飽きるどころか瞬きをする間もないほど、次から次へと繰り出される殺陣やキャラクターの心情の変化など、見どころや考察場面がたくさん散りばめられていて、これをあと13回も浴びれるのかと思うと興奮ものだった。

 

そして今回はあまりにも全キャラクターへの愛着が湧いてしまったのでそれぞれの感想を綴らせてください。

 

・アンサンブル
今回これだけの勢いと華やかさで公演ができたのは確実にこの8人のアンサンブル陣のおかげだと思ってる。めくるめくシーンで様々な兵士役を演じていて、殺陣やアクション、台詞も聞き取りやすいし影で支えている8人だった。
わたしは特に熊倉さんの殺陣が好きだったし、2幕の怪物ムラガに「発作の感覚が短くなってる…!」「何か手はないのか」「静かにしろっ!」「「ッッッッ!!!!!!」」の2人がお気に入り。あとサーダリーの手下組の崇拝演技が上手すぎる。それぞれの登場シーンで使い分ける演技力の高さにアンサンブルが8人しかいないことに初日は驚いたな。

 

・オー/石坂勇さん
若手役者陣がそれぞれのキャラクターを模索し続けてセリフの言い回しや表現を変え続けている中、オーだけは基本的にセリフの言い回しもイントネーションも強弱も1公演目からほぼ変わらず常に一定だったから、まさにオーのように支柱となって安定させてくれていた存在のように感じた。豹変シーンでの殺陣はBGMも相まって迫力が増して、わたしが最初に覚えた台詞は「さぁ始めよう。血の宴をーー!!!!」でした。

勇さんの絶妙な嗄声がシュテルを見守ってくれているやさしさで溢れていて、泣きたくなるような安心感だったな。

 

ギルガメッシュ/姜暢雄さん
動きはもちろん喋るのも難しそうな衣装なのに、トーンを下げながらかつ聞き取りやすくハッキリ声を出す、結構難儀の役だったのではと勝手に推測。ギルガメッシュは基本的に魔術?で戦うんだろうけど殺陣姿もやはり圧巻でこれは敵わない、と思わせる圧倒的存在感。
お見送り会のときに役を裏切らずゆっくりお手振りしていた姿を見て、姜さんが愛される理由ってこれだなぁなんて思いながら振り返しました。キュートすぎるギルガメッシュ

 

・ヘレナ/鈴木紗理奈さん
おそらくこの作品において最も苦しい立場だと思うけど、強い女性陣が複数出ている中で母親の勇ましさを教えてくれたヘレナ妃。回数をこなす毎にどんどん悲痛になっていく泣き方は紗理奈さんにしかできない演技だと痛感するほど。あの泣き声聞いてるだけで苦しかったなぁ。

だからアフトでのギャップに毎回救われていたし紗理奈さんの可愛らしいキャラクターにこちらまで元気をもらえた。

 

・エルデ/前川泰之さん
王として、父親としての威厳、そこに立っているだけでひれ伏したくなるような人物像。後半は一切笑わず厳しいことばかり言うエルデだけど過去の回想シーンで息子たちを微笑ましく見守っているエルデを見てしまうと毎回心が張り裂けそうになっていた。各シーンの目線や息遣いのひとつですら度々微調整がされていて、その細かい動作が本心を語らないエルデにとって核だろうから、実は繊細に作り込まれているキャラクターなのだろうし、物語の流れがわかった上でエルデの表情を見ていると考察範囲が広がった。

千穐楽のカテコで息子たちを称える前川さんの姿はエルデそのもので、初めて認めてもらえた2人の姿を重ねてさすがに泣いてしまったわ、、

 

・リリシュ/赤井沙希さん
悲惨な過去に負けずに己を磨いて今を生きるリリシュのたくましさはわたし自身見習いたいところばかり。男気強いけど弟想いなやさしさでいつでもモントと弟を重ねて右腕となりながら見守ってくれたお姉さん。
思わず目がいってしまうその美脚にこの衣装は沙希さんだから着こなせる、、と何度思ったことか。アフトやお見送り会での優しい眼差しはリリシュが宿っていたし、口を開けば毎回おもしろい沙希さんのキャラクター大好きだったな。

 

ラマダ/清井咲希さん
初見からとにかく声が心地よくて喋るトーンも速さも一度もブレることなく、キャラクターやストーリーを一切知らない中ラマダのキャラクター像は最初にすんなり理解できた。基本的に感情の起伏がなく淡々としてるけど、敵陣を見るときの鋭い眼光のギャップが刺さりまくって、尺としては短いけど個人的にラマダの殺陣シーンをいつも心待ちにしていた。
アフトやお見送り会の咲希ちゃんの愛想の良さにまんまと癒されて好感度爆上がりの女優さん。またいつかどこかで会いたい。(恋)

 

・シュゼルト/桜庭大翔さん
ただ声を大きく出すだけでなく、トーンや喋る速さでシュゼルトの風格や威圧感を上手く操っていた大翔くん。割と序盤から細かい言い回しや感情の落とし所を変えていた印象だったけど、後半戦になってから台詞の勢いや滑舌が急成長を遂げたのには驚いた。シュゼルトの感情分析が楽しくて思わず目で追ってしまう公演もあったほど、様々な顔を見せてくれた俳優さんだった。

 

・マシュリー/川上千尋さん
顔がめちゃくちゃ可愛いのに強い芯があり、国のために戦うマシュリーの姿はまさに戦士だったし、自分の忍びが殺されたときですら怯むことなく、むしろ怒りを力に変えて敵陣に1人で挑む強さがまぶしかった。ヒールを履きながらあれだけ軽々と動き回れる千尋ちゃんの華麗な舞に眼福とはこのこと。舞台俳優として伸び代しかない演技だったから、その才能を発揮できる機会にこれからも恵まれますように。

 

・ムラガ/レイザーラモンHGさん
わたしにとって1番の推しキャラになってしまったのかもしれないムラガちゃん、、、公式で実は一度オファーを断っていたと書いてあって、間違いなくこのムラガはレイザーラモンさんにしか務まらなかったから、最終的に引き受けてくださって本当に良かったと思わずにはいられない。まさかレイザーラモンさんがここまで巧みな演技をしていたとは知らず、これは確実に舞台俳優としてこれからも活躍できるに違いないひとだと確信した。唯一アドリブを取り入れながらリピーター客も飽きさせない演出、2幕から徐々に化粧にも変化を付けていくことでバケモノと化していくムラガを舞台でもわかりやすく描いていた。あんな同情の余地すらないムラガだけど最期の台詞が「フェネスを、頼む」なのは、ムラガも王としてフェネスを守り続けていたのだと思うとなかなか刺さる台詞だったし、なぜか憎めずついつい目で追ってしまう……この気持ちは一体、、?

 

・シュテル/武藤潤くん
わたしはシュテルに1番同情していたからシュテルへの考察は山ほどあるんだけど、全部Xで呟いてるからここでは割愛させてもらって、オーとの会話でやさしさが滲み出ているシュテルを見てしまうと、人生の歯車が狂うなんて容易いなと少し恐怖すら覚えるほどの人物像だった。宿命に狂わされる運命……あまりにも残酷だよ、、、、、、
今回初めて潤くんの演技を真剣に見たけど、普段の潤くんを知っているだけに、想像を軽々超えすぎて初演はまともな感想すら出てこないほど、語彙が整理できないほど圧倒されてしまった。剣術の才能があるシュテルの殺陣も何の違和感もなくこなしていて、むしろギルガメッシュと並ぶほど人並み外れた剣術であることが見るだけでわかるほどのダイナミックさと華やかさだった。そして毎公演シュテルの勢いが加速していって間違いなく演技で座組の士気を上げていた存在だったと思う。まさかここまで感情を爆発させる演技ができるとは、武藤潤の可能性は無限大だな。

 

・モント/吉田仁人くん
守るものが増えていく過程の中で、強さが増していくのもわかりやすく描かれていて物語を噛み締めるほどモントの成長ぶりに感動していた。優しさで身を滅ぼすと言われ続けていたけど、国を守ると決めた後の鬼気迫る表情は公演を重ねる毎に迫力が増していき、まさに仁人くんがモントと重なる瞬間だった。
こんな有名作品が初主演舞台とのことで、こちらには想像もできないほどのプレッシャーがあったと思うけど、気負いすぎていないような表情で舞台に上がってくれることがこれこそ真のプロの姿だなと感じた。仁人くんが主演だから観たいと思ったし、仁人くんが「原作知らなくても絶対に楽しめる」と再三言ってくれたから期待しかなかったし、仁人くんが座長だったから、この座組を愛することができました。

 

・サーダリー/浦野秀太くん
やっぱりここはわたしが14公演も通う原因になった秀太くんにトリを務めてもらいます。
とにかく悪そうな奴だと思っていたけど終始本当に悪い奴で今回のストーリーだけだと同情の余地もないはずなのに、後半戦になるに連れたまに見せるギルガメッシュへの隠しきれない憎悪の表情にサーダリーも実は感情がある人間だったんだよなと思うと考察が止まらなかった、けど自分の手を汚さずにムラガちゃんもシュテルも手駒にして戦わせるしやっぱり悪い奴!!!(私感)
前回の初舞台を終えた後に、今度は悪役が見たい、と熱望してからまさかこんなに早く願いが叶うとは。秀太くんの瞬きをしない演技は前回から感心していたけど、今回はとにかくそれが活きたし、ねっとり喋る口調が本当に気持ち悪かったなぁ。(最大の賛辞)
秀太くんの演技力には絶対なる信頼があったから初演の登場した瞬間のただならぬ不穏感が忘れられない。空気すらも操れる不思議な演技力がある秀太くんはやはり舞台向きだと確信した。

有名な原作、そしてこれだけの実力派俳優さんたちに名を連ねる秀太くんが誇りだったし、きっとこの作品を通してたくさん吸収することもあっただろううから、これからどんな役者に化けていくのかますます楽しみになる14公演だった。舞台、続けてね!!!!

 

 

キャスト陣だけでなく、役者のタイミングとほぼ毎回合っていた音響や、ひとつのスポットライトで舞台の見え方がまったく異なる照明、凝りすぎていて特別ボーナスを差し上げたい衣装さんやメイクさん、そして原作を知らなくてもすんなり理解できる内容に仕上げてくださった演出家の松多さん。他にも名前を挙げたらキリがないけど、誰ひとりとして欠けてはならなかった今回の舞台FFBE幻影戦争、全員で完走してくださってありがとうございました。

 

初演で走り抜けたこの座組のことを、同じ公演は2度となく舞台は生ものだと実感できたこの14公演の期間を、わたしは絶対に忘れないし、最後まで見守れたことがとにかくしあわせでした。

再演があっても全員が揃うことは難しいだろうからもちろん猛烈な寂しさもあるけど、この儚い時間が舞台の醍醐味でもあるので、しばらくは噛み締めて生きます。

 

楽しかったな、、、(CV.シュテル)